パーフェクトラブ〜激愛されて困ってます〜
私は閉店準備をしていた。

明日は休みなので、自分が引き継ぎをして、おかなければならないことをメモしておく。

全部の上映が終わった。

お客様がどっと通路に溢れ出てくる。

私は笑顔で挨拶をする。

お客様を見送ればあとは、片付けをして今日の仕事は終了だ。

私はさっきまで上映されていた場所へ行き、片付けを始めた。忘れ物がないか、確認していた。

ブブ、 ブブ。

スマホの音がする。どこだろう?

ブブ、ブブ。

何度も鳴っている。急ぎの用事なのか?それなら大変だ。私は、急いで探し始めた。

どこ、どこ、もうどこなの〜!!


あっ、あった。そのスマホは、まだ鳴っていた。

菜々恵……

着信には、菜々恵という人からだった。

人のスマホに勝手に出る訳には行かないから、そのままにしておく。

お客様が取りに来るかもしれないから早く受付に行って、報告しないと……

私はスマホを持って、出入口に向かった。

「小橋さん?」

「あっ、元谷さん」

そこには、ちょっと焦った元谷さんの姿が……

「どうかされましたか?」

「あぁ、スマホを落としてしまったみたいで」

「あっ、もしかして、これですか?」

私はスマホを見せた。

「あぁ、そう。これだ、ありがとう」

元谷さんは、安心したようにニッコリ微笑んだ。やっぱり可愛い〜。

私は元谷さんに見惚れてしまった。

「小橋さん?」

「……」

「小橋さん?お〜い」

元谷さんが私の目の前で、手を振っていた。

「あっ、あ、すいません」

「どうかした?ボーッとして……」

「だっ、大丈夫ですよ。スマホ見つかってよかったですね」

「あぁ、本当によかった。ありがとう」

「お礼なんて、とんでもない」

私は首を横にブンブンと振る。

「ははっ、小橋さんはおもしろいね」

笑うと目がなくなっちゃうくらい、楽しそうに笑う。

もう、カッコよかったり、可愛かったり忙しい人だ。

私の心はフル回転で壊れそうだ……どうしてくれるのだ。もうドキドキが止まらないぞ。

ブブ、 ブブ。

「あっ、」

スマホが鳴った。

スマホの画面を見て、

「あ〜」

元谷さんが気まずそうに言った。

「私はこれで、失礼します」

ぺこりと頭を下げた。私は、慌ててその場から出て行った。

分かってたことでしょ?元谷さんに彼女がいることなんて。あんなにパーフェクトな人が、彼女いないなんてありえないんだから。

なのに、少し話せるようになったからって
調子に乗るなっ。

私は胸の痛みを感じながら、仕事をやり終えた。

そのあと元谷さんと会うのが怖くて、バックヤードの仕事をした。

「お疲れさまでした」

従業員出入口で、他の従業員と挨拶をし、家の方向へ歩き出した。

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