パーフェクトラブ〜激愛されて困ってます〜
私、ダメダメだ〜。こんなに凹む人だったっけ?

「あ〜」

私は声を出して、テーブルに上半身ごとなだれ込む。昨日の元谷さんのスマホの着信。

菜々恵……

「あ〜っ」

思い出しては、大声をあげる。今日は、それの繰り返し。元谷さんに彼女がいることくらいわかっていたはずなのに。最近、ちょっと話せて調子に乗ってたのは事実で……浮かれてた。

現実は厳しい。

休みなのに、何もする気になれず……ただ、ダラダラ過ごしているだけ。恋を知らない私はただただ、自分の気持ちをどうコントロールしていいのか分からずにいた。



日曜日からキャンペーンが始まり、館内は、沢山のお客様で賑わっていた。子連れの御家族には、風船をプレゼントしたり、抽選会を開催したり、やることが沢山あった。

このキャンペーンは1週間ある。

みんなは、忙しくて嫌だというが、私は映画を観て、お客様が楽しんで頂けたら、それだけで嬉しい。やっぱり笑っている顔を見るのが好きだ。


やっと休憩だ〜。疲れるけど、充実している。

「あっ、小橋さん」

「はい。休憩中、悪いんだけど風船終わっちゃって補充お願いしたいんだけど……」

「いいですよ」

「ほんと、悪い。助かるよ」

「気にしないでください」

私は風船を取りに向かった。

キャンペーン中は、休憩も取れないことが多いのだ。

特に社員の私は、バイトやパートの人達をきちんと休憩させたいし、私も楽しいからついつい仕事をしてしまう。心から仕事を楽しんでる。

バタバタしながら、仕事をし、さすがに疲れた。明日は、金曜日だ。元谷さんは来るのだろうか?平常心、平常心。普通に接すればいいのだ。

あぁ、心を落ち着かせるには……

よし、今日、仕事が終わったらお兄ちゃんのお店に行こう。

お兄ちゃんのお店は、
11:00〜16:00 Cafe
19:00〜2:00 BAR
になっている。

花鈴音さんは、Cafeを手伝っており、BARはお兄ちゃんと他に男性の従業員がいる。

BARは、あまり行かない。BARこそ、場違いだ。

あくまでもイメージだが、容姿端麗な美男美女が、大人の雰囲気でお酒を飲む。

私の憧れだ。

私も、もう大人なのに......でも今日は、場違いなどと、言っていられない。私の癒しを求め、BARに向かう。
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