No Way Back
*濡れた肌
自分は、絶対にそんなことはしないと思っていた。
合コンに行って、お持ち帰りされるような容姿はしていない。
酔いつぶれて、朝起きたら知らない人と……なんて、現実じゃありえないと思っていた。
そもそも、お酒に弱くないし。
だから、誰と飲んでも気にしなかった。
誰も私なんかを相手にしないことを分かっていたから。
容姿はさることながら、デートより仕事を取るから。
30歳目前でも結婚していなければ、彼氏だっていない。
仕事優先で酒が強い女なんて、誰だって嫌だろう。
そんな私が、なぜ?
その日は、いつもと変わらない日だった。
「逢沢さん、この分確認しといてもらえる?」
「分かりました。後程で構いませんか?」
「いいよ。変なところあったら教えて」
「はい」
「果林先輩、お電話です」
「はーい」
「あと、これもお願いします」
「はい、はい。
お電話代わりました、逢沢です」
いつも通り上司にも後輩にも頼られながら、仕事をこなす。
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