No Way Back
*無性な衝動
月曜の朝は、異様にドキドキ、ソワソワしていた。
いつもと変わらない風景なのに、私の気持ちだけが落ち着かない。
だけど、東條さんは朝からいなかった。
ほっとしたけど、少し先伸ばしにされただけだ。
いずれ顔を合わせないといけないんだ。
「果林先輩、お電話ですよ」
奈々ちゃんも、それ以外の人も、いつもと変わらない。
「ありがとう。誰から?」
「リーダーです」
「えっ?」
まさかの不意打ちで、少し大きな声が出てしまった。
「どうかされました?」
「あ、ごめん。何でもない……」
過剰に反応しすぎた。
奈々ちゃんが不思議そうにしているけど、言い訳も思い付かない。
とりあえず、一呼吸ついて電話に出る。
「おはようございます。逢沢です」
『おはよう。ちょっと頼みがあるんだけどいいか?』
東條さんの声を聞くだけど、鼓動は早くなるし、身体は熱くなる。
「はい……なんでしょう?」
『こないだの件、見積り作って交渉しといてくれ』