No Way Back
「は?こないだのって、無理難題言われたアレですよね?無理ですよ」
『無理じゃない。逢沢だから言ってるんだ。この前も、逢沢が力説したから耳を傾けただろう』
「そりゃ、そうかもですけど……」
『俺も一緒に行きたいが、帰れる状況じゃない。
いいか、同行をつけてもいいが、お前が話すんだ。頼んだぞ』
「え?あ、ちょっとっ」
まだ、了承もしてないのに電話を切られた。
イヤイヤ、無茶振りもいいとこだ。
また難しいとこを押し付ける。
ドキドキしている場合じゃない。
「果林先輩、眉間にしわがよってますよ」
難しい話しに、ついつい顔までそうなっていたらしい。
奈々ちゃんに突っ込まれる。
「イヤ、また東條さんに無理難題を押し付けられた」
「相変わらずですねー」
「うん、笑い事じゃないけど」
もう、これで飲み会の件を気にしている場合ではなかった。
電話で話す限り、向こうも普通だった。
覚えてないのかもしれない。