No Way Back
だから、仕事に打ち込もう。
あくまで、仕事上での関係だ。
それ以上でも、それ以下でもない。
「では、これから伺います」
東條さんの言われた通り、見積りを作成して先方に連絡を取った。
1人で行くのは……嫌だな。
「奈々ちゃん、今出れる?」
「今、ちょうど一段落ついたんで出れますよ」
「じゃあ、ちょっと付き合って。東條さんの許可はもらってるから」
「いいですけど、さっきの電話の件ですか?」
「そう、ついてきて」
「なんの力にもなりませんよ?」
「大丈夫。一緒にいるだけでいいから」
そう言って、なんとかついてきてもらった。
案の定、見積りを持っていっても無理難題を言われる。
しかも、全然関係ないことまで言われる。
私に言われても分からないことだった。
とりあえず、東條さんから連絡を入れるということで落ち着いた。
気難しい相手ではあったけど、なんとか穏やかにすんだ。
東條さんに話すことはたくさんあるけど。