No Way Back
「果林先輩って、毎回ああいう人を相手にしてるんですか?」
「そんな訳ないじゃん。今回はたまたま。私が対応出来る訳ないよ」
「そんなことないと思いますよ。相手が欲しい答えを言っていたと思いますし。
改めて、果林先輩は頼りになるってことが分かりました」
うん、まぁ……
頼られるのは嫌じゃないけど、気難しい人はやめて欲しいな。
そう思うんだけど、結局やるんだけど。
「ところで、金曜日は大丈夫でした?」
「え?金曜って……何があったっけ?」
急にそんな話しを振られて、頭が回らなかった。
「えっ、記憶ないんですか?飲み会したじゃないですか」
「えっ……あ、そのことか。さっきのことで頭いっぱいで。大丈夫、覚えてるよ」
覚えてるとは言ったものの、飲み会の終盤から行為に及ぶまでの記憶はない。
何であの時、あんなに眠かったのかも分からない。
何かがいつもと違ったんだ。
「あのあと、ちゃんと帰れましたか?」