No Way Back
「えっ?あ、気づいたら家にいたけど……私、何もしなかった?」
「普通に眠っていたので、暴れるとかはなかったですよ。でも、ちゃんと家に帰っていたんですね」
「あ、うん。帰っていたよ。たぶん、誰かに迷惑かけていると思うけど……」
「うーん、リーダーにお任せしましたので」
リーダーと出たとたん、ドキッとした。
最後に一緒にいたのは東條さんだということは、みんなが知っているんだ。
でも、その先はどこまで知っているのだろう。
聞きたいけど、これ以上突っ込むとボロが出てしまう。
奈々ちゃんから言わない限り、何も聞かない方がいいだろうな。
「まぁ、近いうちにまた飲みたいですねー」
「え?あ、そうね……」
私はこの時、自分のことでいっぱいいっぱいで気づかなかった。
奈々ちゃんの満足そうな顔に。
そして、自分の身体についていたモノに。