No Way Back
確かに、今のはドキッとした。
でも、それよりも周りの目を気にする。
「果林先輩……神谷さんに遠慮しすぎじゃないですか?」
「遠慮なんてしてないけど。怒らせたら面倒なだけで」
「でも、お2人は結婚してる訳じゃないですよ?まだ、付き合っているだけです。だから、別に横やりしてもいいと思いますけど」
「イヤ、横やりしたい訳じゃないし。どうするつもりもない」
別に私は、東條さんを好きな訳じゃないんだから。
「……今でも不思議なんですけど、何でリーダーは神谷さんと付き合ってるんですかね?」
それは、誰もが思っていることだと思う。
でも、私は本人にそんなこと聞かない。
東條さんが誰と付き合おうが、興味はない。
沙菜におめでとうと言うだけ。
所詮、友達と言っても仕事仲間なだけ。
性格悪かろうが、面倒だろうが、社内のみの付き合い。
さらっと受け流すだけ。
「誰もが不思議でも、東條さんにとってはどこか魅力を感じたんでしょ」
「魅力、ありますか?」