No Way Back
「確かに、アレはどうかと思いましたよ。仕事の話しをしているのに、いちゃついてる!って怒り出した時は」
それは、付き合ったと聞いてすぐのことだった。
まさか仕事中にそんなことが起こるとは思わなくて、東條さんでさえ驚いていた。
それで、2人が付き合っていると知れ渡ったのだけど。
何回か同じ事が起こって、さすがにみんなが引いた。
でも、関わるのが面倒だからと沙菜の前では極力話さない。
話してもすぐ終える。
それが、決まり事となった。
どうしてもって時は、私が使われる。
私の場合、グチグチ言われるけど、ずっと妬まれる訳ではないから。
同期の特権かもしれない。
そんな特権はいらんけど。
そんなことがあったから、東條さんの相手は自然と私になってしまった。
……それがいけなかったのかな。
「今、そんなに忙しくないはずなのに遅くまで残っているのって、やっぱり神谷さんと逢いたくないせいですかね?」
「それって、うまくいってないってこと?」