No Way Back
そもそも、なぜ沙菜を選んだのか、社内の七不思議的なことでもあった。
見た目は、釣り合いが取れているのかもしれない。
でも、沙菜の問題は中身なんだ。
わがままだし、嫉妬深い。
女に嫌われる典型的な女だ。
私は、同期ってこともあるのか、なつかれているけど。
ただ、こういう愚痴が多いから嫌になる。
同じ社内にいるため、すぐに目につくのだろう。
毎日愚痴を聞かされる。
私だけじゃない。
時には、相手の女性に対して本気で怒るのだ。
仕事なんだから、多目に見ろよと思う。
そんなんで、沙菜が見ている前ではみんなが遠慮がちに東條さんと話す。
私は、もう気にしないから普通に接する。
だから、一緒に回されることが多いのだろう。
『果林、ちゃんと見といてね』
「沙菜がいるんだし、そんなに羽目を外す人いないよ」
なんとか宥めて、電話を切る。
そして、深く息を吐く。
沙菜のこと嫌いではないけど、コレばっかりは嫌になる。
愚痴は本人に言ってよ。