No Way Back



だけど、今日はなぜか眠い。

ずっと忙しくて睡眠を削っている時もあったからだろうか。

疲れてるから酔うとかじゃなくて、すごく眠たい。

ただ、ただ眠い。


「どうかしたんですか?お酒、進みませんね。具合悪いですか?」


奈々ちゃんが気づいて、心配そうに言う。


「んー、具合は悪くないよ。ただ……眠い」

「え?珍しいですね。大丈夫ですか?」

「んー……大丈夫……じゃないかも。目、閉じる」

「え?果林先輩、こんなとこで寝ないで下さいよ」

「分かってるけど……」


自分でもよく分からない。

何でこんなに眠いのか。

起きていたいのに、瞼が重い。


「どうした?」

「果林先輩が眠いって……」

「え、マジで?」


東條さんと奈々ちゃんの声が遠くに聞こえる。

ああ、ダメだ。勝てない。


「おい、果林?」


誰かにそう呼ばれたあと、私は意識を手放した。




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