君の隣でみる夢
「柚葉、俺頑張るから」
「うん。頑張って」
「ありがとうな」
「?」
「あの日。柚葉が初めて高校まで一人で歩いてきた日、俺何も言えなかった。」
柚葉はその日のことを思い出していた。
「ずっと言いたかったんだ。ありがとうって」
「私の方がありがとうだよ」
「違う。柚葉を近くで守ったつもりになっていたけど、守られていたのは俺だったんだ。」
永遠は柚葉の右手を自分の手につかませた。
「こうして、柚葉の右側が俺の居場所だった。」
柚葉は唇をかみしめる。涙を必死にこらえていた。
「俺の背中を押してくれてありがとう。俺を守ってくれてありがとう。」
柚葉は唇をかみしめたまま首を横に振る。
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