君の隣でみる夢
「彼女の隣にずっといたいんです。」
永遠の言葉に柚葉の父が話始めた。

「柚葉の脳に腫瘍があるとわかった時、どんな状態になってもいい。柚葉が生きていてくれたらそれでいいと思ってたんだ。でも、柚葉は手術を受けたがらなくてね。」
柚葉の母の瞳に涙が浮かぶ。
「もう18歳。柚葉にも手術を受けるか拒否するかを決める権利があった。無理やりにでも私たちは手術を受けさせようとしたんだ。でもできなかった。」
過去の悔しい思いを思い出し柚葉の父は手を強く握りしめた。
「そんな娘が手術を決断してくれたのは君が告白してくれて、未来に希望を持てたからなんだ。二回目の手術の時も、君にもう一度会うために柚葉は手術を受けてくれた。」
柚葉の母は顔を覆って泣き始めた。
「君には本当に感謝しているんだ。感謝してもしきれない。あの子の命の恩人なんだよ。」
永遠は柚葉が自分のために頑張ってくれていた時にそばにいられなかったことが大きな後悔として残っていた。
でも、離れていたからこそ柚葉は頑張れたのかもしれないと思った。
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