君の隣でみる夢
その日から柚葉は、柚葉の実家に泊まっていた。
永遠は休みを取る代償で数週間の激務をしなくてはならなかった。

受け持っている患者の引継ぎやたまっていた書類の整理、休む間に夜勤や日勤を変わってくれる先輩たちのシフトに入るなど準備におわれた。

それでも柚葉のためにとおもえば耐えられた。

永遠自身も久しぶりの夫婦水入らずの時間に楽しみが膨らんでいる。


「新婚旅行だって?」
「はい」
休憩中に観光ガイドを見ている永遠に話しかけたのは父の医者時代の仲間だった。
永遠が勤める病院の院長でもある。
「奥さん、体調は?」
「体調は大丈夫なんですけど、精神的に自分を追い詰めているようなところがあって、心配なんです。」
「脳障害の患者がたどる道だな。そこで重度の精神疾患になる患者も少なくない。」
「はい」
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