君の隣でみる夢
「ありがと・・・」
「ん」
いつものように柚葉の家の玄関まで送ってくれた永遠に柚葉がそう伝えるとぶっきらぼうな返事だけではなく永遠は柚葉の頭をぽんと撫でた。
「じゃあな」
真っ赤になる柚葉を見ずに永遠は階段を降りて帰ってしまった。

しばらく後ろ姿を見送っていた柚葉は何となく家に戻りたくなくて近くのコンビニへでも行こうと玄関の階段を一人降り始めた。

永遠がいないときはいつも手すりを使って降りている。

その時はなぜか手すりをつかんでいなかった。
朝から耳鳴りがしていたことを浮かれて忘れていたのかもしれない。
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