君の隣でみる夢
永遠の母はそれでもしゅんとした表情をしていた。
「おじさんは?」
「湊は一度家に帰ったのよ。ほら里華が今日は家の鍵忘れちゃったみたいでね。」
里華とは永遠の妹だ。まだ小学5年生で柚葉も妹のように接していた。
「このこと、永遠には・・・」
「私たちも焦っちゃってね、永遠に連絡しちゃったの。」
その言葉に絶対に永遠に叱られると思いながら近くを見渡しても永遠の姿はなかった。
「柚葉ちゃんのお母さんはお父さんに連絡しに行ってるわ。」
『コンコン』
病室の扉がノックされて柚葉は自分の母親かと思いながら開く扉を見ているとそこに立っていたのは永遠だった。
永遠の鋭い視線と柚葉の視線がピタリと合う。
永遠は何も言わずに柚葉のそばへ来るとまっすぐに柚葉を見た。
柚葉は反射的に叱られると思い身構える。
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