君の隣でみる夢
柚葉はあの日の唇の感触を思い出して頬が赤くなるのを感じた。
永遠は顔色一つ変えない。

やっぱりあの日のことは自分の勘違いだったのかもしれない。
そんな風に思わずにはいられない永遠の表情だった。

「落ちんぞ」
永遠の言葉にぼーっと永遠を見てしまったことに気が付き慌てて視線を自分の足元に移した。

登校中も永遠がいつものようにしてくれていても柚葉は意識せずにいられなかった。

いつもは柚葉の手で永遠の腕をつかんだり、永遠が柚葉の腕をつかんでいたが、今は肋骨が折れていて腕を伸ばすと痛みのある柚葉を気遣って永遠は柚葉の腰や肩を支えたり引いたりする。そのたびに心臓がどきどきして苦しいほどだった。
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