君の隣でみる夢
永遠は思わず柚葉のことを抱きしめていた。

「ありがとう」
柚葉の言葉に永遠は答えられない。

事故の日のことや、事故からの日々のことが一気に蘇り、簡単には柚葉の体を離せなかった。柚葉は永遠の背中に自分の両手をまわす。

柚葉が聴力を失った瞬間、柚葉は永遠の体を抱きしめていた。
必死で永遠を守ろうとした。

永遠はあの瞬間から次は自分が柚葉を守りたかった。
柚葉の聞こえなくなった右耳に自分がなればいい。
どんな時も柚葉のそばで柚葉を守りたい。支えたい。
そう思って、どんなに柚葉が自分の手を振り払おうともそばにいた。
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