キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
小さな披露宴だから

お色直しは一回のみ。

本当は、一度もしないって言ってたんだけど。

唯がどうしても着て欲しかったから…………尋ちゃんにお願いしてたの。

「披露宴が始まって直ぐですが
新郎新婦は、ここでお色直しに向かいます。
これは、千尋さんの姉。
私の可愛い婚約者なんですが。
唯ちゃんたってのお願いなので…………。
それでは新郎新婦が退場します。
介添え人は……………お母さん、お願いします。」

そう。

これが唯の願い。

式はお父さんと。

披露宴はお母さんと一緒に………思い出を作って欲しかったの。

それからもう1つ………………。

驚くお母さんに「頑張って。」と笑顔を向けると

涙ぐむお母さん。

バックから出したのは…………

去年もらったガーゼのハンカチ。

ソッと渡す唯の頭を撫でて

「唯のはここに預かってるから。」と

お父さんが、先生から預かったハンカチを見せてくれた。

お母さんに手を引かれて歩く尋ちゃん。

訳を知っている人達も、涙を拭っていた。

「尋ちゃん、幸せ?」

先生の質問に

「お姉ちゃん、ありがとう!」と答えてくれた。
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