キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
あれから1時間。

待ちに待ったお兄ちゃんからの電話!

……………って思ったら

「唯。」って………………。





「……………悠君。」

久しぶりの声は………

不意打ちって事を除いても………涙を誘う。

「こ~らっ。
もう1日我慢してって…………言っただろう。
明日、俺がちゃんと受け止めるから………って。」

分かってるけど………

こんなに離れていたことがなかったんだもん………無理だよぅ。

「だったら……………お兄ちゃんに変わって…………。」

唯の伝え方が悪かったのか………

「あっ、そう。」と、ちょっと怒った悠君。

「違う。
違うの!
……………………怒らないで……………。
ただ、悠君の声を聞いて我慢が出来ないって思っただけだから。
もう泣かないから…………。」

「…………うん。
ごめん。」

嬉しくて、待ち遠しくて………

ずっとこの日を待ってたはずなのに…………。

気持ちが高ぶりすぎて………ギスギスしてしまう。

伝えたい気持ちも

甘えたい自分もいるのに……………

出会った頃のように

言葉にする事が難しい。

さっきまで

食べたいものや、したい事を聞こうって思っていたし。

悠とパールの成長や

幼稚園の話しをいっぱいしたいって思ってたんだけどな…………。

言葉の出ない自分を、もどかしく思っていたら。
< 181 / 398 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop