キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
「10分経ったよ。」

「悠人、負けたな。」って、悠君の頭を

出て行った時と同じように撫でるお兄ちゃん。

「………………あぁ。
完敗。
いつの間にか…………頼りになる大人に成長してた。」と言って

膝の唯に、苦笑いを向ける悠君。

???

大人?

頼りになる??

……………………唯??

声にしなくても分かるのか。

「そう。
唯ちゃんが、大人になったの。」って言われて

頭を撫でられた。

「唯ちゃん。
唯ちゃんの言う事が最もで…………正しい。
けど、叔父ちゃんは…………。
この……ガキで甘ったれで
ヘタレな悠が可愛いくてたまらないんだよ。
だから………
婚姻届にサインしてやってくれない?
ただし、これは俺が預かっておくから。
もともと、俺とコイツが見届け人になる条件で
今日、これにサインしてもらう予定だったから。
書く事で安心………って、本当にガキだから。」

そう言ってお兄ちゃんと肩を組んで

「「ねぇ~」」と笑いあってる。

「俺からもお願い。
悠人………早く唯ちゃんを自分の家族にしないと
逃げていっちゃうんじゃないかって、不安みたいなんだ。
可笑しいだろう?
こんなに真剣に、二人のこれからを考えてくれてる唯ちゃんなのに………。
でもね。
この話しを始めたとき。
『別れたくない。』って、唯ちゃん泣いたでしょ?
たぶん、二人とも同じ不安があると思うんだ。
だったら。
どうせ一緒になるんだったら………
サインしても良いのかな?って思うんだけど………どうかな?
それで、二人に安心が生まれるなら…………
一番良い気がするんだよね。」
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