キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
「……………ありがとう~」

まだまだ泣き止まない唯の隣に来た悠君が。

「はい。」って唯にハンカチを差し出した後

みんなに向かって。

「さっき電話で話した通り
これから婚姻届を出しに行く。
このメンバーには、報告してから行きたくて………
急だけど、ごめん。
籍は入れるけど
生活は、式を挙げるまで何も変えないから。」って頭を下げた。

「それって………エッチも?!」

からかう海晴ちゃんに。

「うん、そのつもり。
バージンロードは、お父さんと堂々と歩かせたいから。
それに……
急激な変化に、唯ちゃんが着いてこれる訳ないからね。」と………。

「まぁ、ねぇ~」

「まっ、良いんじゃない?
予定より早く嫁になってくれるだけで十分でしょう。」

「まだまだお預けかぁ。
楽しそう!!」

「このカップルは、飽きさせないよねぇ。」

さっきまで唯にしんみりお祝いしてくれてたのに……

悠君が相手だと、やっぱりからかうみたい。

けど、このメンバーが一番落ち着く。

唯と悠君のもう1つの家族だもん。

一人物思いに更けてたら

四人の手が伸びて来た。

「唯ちゃ~ん。」

「やっぱり、可愛い!」

「嫁にやりたくない~」

「唯先生、考え直しません?」

……………どうやら、また声に出てたみたい。

「唯ちゃん、報告も終わったし。
そろそろ行くよ!!
ここに居たら、変な洗脳されそうで怖いから。
もう報告終わったので、邪魔をしないように!」

そう笑って

「じゃ、行ってくる。」って………。

悠君にとってもこのメンバーはやっぱり………大切なんだよね。

幼稚園という仕事場で出会ったみんな。

悠君に至っては………

次期経営者。

でも、そんな間柄じゃないのは………

この報告で分かる。

「悠君………。
ここに連れて来てくれて………ありがとう。」

唯の頭をポンと叩いて。

「それじゃあ行きますかぁ~」と

ウチを出る時よりも、リラックスした表情で市役所に向かったの。

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