キンダーガーテン五      ~ここが居場所~
「悠君………怒るよ!」

そう言うと、涙がいっぱい溢れてくる。

病気の時には我慢出来たのに…………無理だった。

「………本当に……………ごめんね。」

頭を下げようとする悠君の両頬を、両手で挟んで…………

パチン!!!

思いっきり叩いたの。

キョトンとする悠君。

叩いたのは、人生で二度目。

一度目は、海晴ちゃんだった。

あの時は「ごめんね!」って直ぐに謝ったけど。

今日は、絶対謝らない!!!

だって、唯は怒ってるんだもん。

「悠君!
唯は、悠君の何!?」

「…………奥さん。」

「奥さんだよね!!
どうして奥さんに謝まるの?!
夫婦だよね?
辛いときは、お互いが支え合うんじゃないの?
唯は………頼りにならない?
大好きな悠君を支えることなく、甘えてワガママ言って
負担かけるって思った?!
そんな事しないよ。
結婚式なんて気にしない。
悠君さえ元気になってくれたら…………それで良い。
バカにしないで!!
そんな事言うんだったら…………
離婚するよ!!」

唯の話を、ポカンと聞いて。

ごめんなさいって謝った。

悠君………泣いて良いよ。

今は唯がしっかりするから……………。

今から治る迄は、唯が支えてあげる。

ヨシヨシって頭を撫でると。

「唯に慰められる日が来るとは………。
でも……………ありがとう。
元気になった。
病気に立ち向かうパワーをもらった。
本当に…………良い奥さんです。」って、泣き笑いの顔を見せてくれた。

「だったら明日から忙しいよ!
泣くのは、元気になってからね!」

そう言うと

「唯ちゃんが…………しっかりした………。」って

知らない人を見る目で見てた。
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