なんでもや



『お前を許さない』






ある日突然日常が消えた。


兄が帰り道通り魔に刺されて帰らぬ人となった。


涙を流さない親戚に

保険金で喜ぶ両親。


最初からいなかったとでも言うように
兄のいない日常に違和感を感じない。


今日もまた、
夜になれば父親が僕のベットへ忍び込み
欲を満たして去ってゆく。

朝になれば母が罵声を浴びせ
母もまた、欲を満たせば去ってゆく。


ほんの少し。
最初は出来心だった


母に向けられた刃物が僕の肌に当たり
赤が膨らみ落ちていく。

それがなんとも言えないほど綺麗で
また、見たいと願ってしまった。

赤は僕に生を教えてくれた。
寂しさも虚しさも苛立ちも
赤をみると一瞬でも忘れたれた。



??「× × × さんの妹様でしょうか?」



『はい、そうですがなにか?』



綺麗な女の人が兄の名前を口にする。

僕の大好きな兄の名前を口にした、目の前の女。



??「私、なんでも屋の店主をしているものですが
お兄さんから貴方宛に手紙なのですがこちらをどうぞ。」


なんでも屋の店主を名乗る女は封筒を僕に押し付けて不気味に笑い去って行く…

『ちょっと待ってください!!!』


自分でもびっくりした。
女の勘、いや普通に考えておかしい。
兄は…死を知ってこの女に手紙を託した。


『兄は、どうして死んだんですか!』


この女もまた、兄の死を知って
手紙を預かったのだと思う。


??「あなたのお兄さんを殺す事、
それがお客様からの依頼でした。」

先程女から渡された大きめの封筒。
中身を開けると血で生臭いナイフ
兄はこれで死んだと悟った


『1時間、買います。』


気付いたらそう吐き捨てて女を刺していた。
何度も何度も繰り返し刺した。
人間って脆いんだなぁ、人を殺してみた感想。
こいつのせいで!!!
僕は毎日が地獄なんだ。


『あは。
あはははははは。』

ぐちゃぐちゃな女の死体を前に
私が感じたのは達成感。









「次のニュースです、
15歳少女が自身の兄、知り合いの女を刺殺したとして捕まりました。

いやぁ、まだ中学生でしょう?

虐待を受けて気が狂っちゃったんだろうね、……」




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