【BL】綺麗な君。
カタカタカタカタ…



「どうだった、うちの上司」

真斗が軽くこっちを見ながら聞いてくる。

「どうって、まだ挨拶しかしてないけど」

俺も軽く真斗を見ながら答える。

「そーだな…なんか見ててイライラした、優しそうな人だなとは思ったけど常にへらへら笑っててさ」
「俺も人と話す時は笑顔だけど、もしかしてイライラさせてる?」

こっちを見て、少し心配そうに首を傾げる真斗。

「別に、お前はへらへらって言うか余裕そうな顔してるし」
「余裕そうって」
「山田さんは何か、間抜け面…っつーの? 気が弱そそうだしおどおどしてるし」
「間抜け面、ね」

とははっと少し笑う。

「確かにおどおどしてて侑也が一番嫌いなタイプだと思うよ、だけど…あの人いい人だから」

そう言いながら自分のパソコンに視線を戻す。


" いい人 " ね。
そんなのただの犠牲の塊だろ?

俺もそうだし。

いい人なんてのは都合よく事を進めるために演じられるものでしかない。
山田さんは単に推しに弱そうだから色々押し付けられ続けた結果、優しい人って思われてるだけだろ。

「そっか」

そう返事をして、俺も自分のパソコンに視線を戻した。
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