瀧のライフ

平凡な日常

6月5日、オレは釈放され、日下部検事「両親が入り口で待ってるよ」瀧「オレ」日下部検事「もうワッパはしないから、自由だ」瀧「ありがと」瀧「20日間お世話になりました!ありがとう」教官「森崎くん、無事に保護観察乗り切りなさい!2度と、私たちのお世話になるなよ!」瀧「はい!もう会うことはないよ、さようなら」教官2人はオレに一礼して退廷していった。父がクルマを入り口に止めて待っていた。オレは母と一緒に裁判所の建物を出て外に出た、オレは空を見ていた。36日ぶりに見上げた空は雲ひとつ無い快晴だった、瀧「うわ!綺麗だ」瀧「母さん!ごめん」春香「いいわ!あとで反省会しよ」瀧「父さん」港「瀧、えらいぞ」春香「瀧くん、よく頑張った、否認を貫いたんだから」日下部検事「すまなかった。所轄の交通課の不手際で大事な瀧くんをひと月も勾留してしまい、すみませんでした」港「いえ、さすが公安部ですよ」港「ありがとな 稔」大山検事「待ちなさい!森崎くん」大山検事「今日が君の更生のスタートラインになる!将来期待してるぞ」瀧「お世話になりました。厳しくしてくれてありがとう」クルマが出発した。日下部検事「検事が元被疑者の心配か!らしくないな」大山検事「日下部!俺はそこまで理不尽じゃない舐めるな、検事は被疑者を厳罰にするだけが仕事じゃない、更生のきっかけ作りも仕事の一環だ!」日下部検事「よくわかってるな同感だ!」大山検事「今回はオレの負けだ!だが次はそうはいかない、お互い頑張ろうや」日下部検事「おう!」帰り道車内、オレは36日ぶりにスマホを手にし、瀧「久しぶりのスマホだ!」春香「瀧くんの事件って、交通事犯よね、どうして地検公安部が出てきたのかしら」永井「普通、道交法の共同危険行為なら交通部の仕事じゃない、政治的意図もないし」港「さあ!」港「what you do not need to know」春香「港らしい」永井「知る必要がない」港「そうだ、解決してしまえばどうでもいい」永井「瀧くん、勾留生活どうだった?手錠してたやん?」瀧「別に、世の中は厳しいなと思ったよ、取調べもそこそこ厳しかったし、でも、やっぱりワッパ掛けられると、やましいこと無くても、犯罪者だって疑心暗鬼に感じちゃうことあるし、普通の人なら自供しちゃうよ」春香「瀧くん、自供しなかったよね!」瀧「一部は自白したけど」永井「普通じゃない、変わり者だもの」瀧「はぁ!しらねぇて」港「当然だろ俺と春香のガキなんだぞ!」瀧「また、オレいじられてる」瀧「オレ、姉貴に謝っておかないと、ワッパかけられた姿晒しちゃって、逮捕状出てたのに任意同行拒否しちゃったからさ?」春香「亜衣は最初はショックだったけど、生で逮捕現場見れて、貴重な体験できたって、あとあと、喜んでたね!」瀧「はぁ!なんでそうなるの」港「亜衣自身、道を踏み外しそうになった時に、自分への戒めになるってな!犯罪したらこうなるって、テレビじゃあ、そこまでのインパクト無くてさ」瀧「オレが、真の体験者なんだけど」春香「瀧くん、後で大事な話あるから?」瀧「高校、ヤッパリ」港「心配するな、事実上のお咎めなしだ」瀧「マジで!」港「ただし、簡単な反省文は担任に出すようにな」瀧「母さんの話って、またオレ説教される、しかも泣かされるし」春香「こっちも疲れるんだから!ったく精神はガキなんだから」外食をすませて自宅に到着。オレは母から叱責を受けた。
春香「怒鳴るおまわりも良くないけど、サイレン鳴らされたらすぐに止まっていれば!こんな目に遭わなかったのよ」瀧「だって勘違いでも現行犯逮捕されたら学校行けなくなるとか、手錠かけられると思ったら怖くなって、けど結局手錠かけられたけど」春香「それでも逃げたら余計に疑われて信じてもらえなくなるよ、分かってる」瀧「うん!」春香「逮捕の要件に逃走防止というのがあるから、逃げなかったら厳重注意で済んだか、もっと早く釈放されてたかもしれない!」春香「逃げちゃダメ、最悪親や日下部さんに助け求めなさい」瀧「はい!」春香「あんた、アタマいいんだから自信持ちなさい、亜衣なんかより上なんだから」亜衣「そこまで言うか?」母さんは怒りながらも涙が出ていた、母さんの声が涙声になっていく、オレは急に悲しく自分に情けなくなって自分を責めていた、同時に逮捕と保護処分というコトの重大さに気付かされて、いつの間にかオレも涙が出て、ワンワン泣いていた。
瀧「ごめんなさい!」永井「瀧くん!」港「瀧また成長したな、前のアイツは春香に怖がって泣いてたとこあったけど、今はそんな春香を泣かしてしまった自分が情けなくて、悔しくて泣いたんだ!変わったな」港「瀧、気にするな!次から気をつければいいんだよ!ポジティブに人生行こうぜ、春香の泣いたとこ特等席で見物させてもらったよ!人生初だぜ、お何か?冗談をと」亜衣「このノーテンキオヤジめ」港「マジ、刑事の取り調べよりキツイよな」永井「春香さん、警察官のほうが向いてる」港「確かに、こう見えても、昔に比べれば半分以下になってるからな、永井さんの言うこと、図星だね」春香「ったく、クソ港、しょうもない」春香が港の腕を軽くひねった。港「痛いって!マジ」港「ギブ、ギブ」瀧「母さん。マジで怖い」永井「けど、そんな春香さんを平然と挑発する!港さんはそれ以上」亜衣「瀧くん」瀧「あの時はごめんなさい!あんな姿さらしちゃって!」瀧「あの時、刑事から訂正された逮捕状が出てて、逮捕が避けられないと思ったら投げやりになってしまって!あんなカッコつけたこと言ってたけど、ホント俺ってまだまだガキなのかな!」亜衣「瀧くん、前も彼女の前でトラパン1枚で寝てて母さんに説教されてたやん」瀧「いいって恥ずかしいって!」亜衣「瀧くんらしいね、手錠きつかった?どんなん?あと留置場は?」瀧「きつくはないけど、ずっしりしてて、オレとんでもないことしたって思って、高校退学になるって真っ先に思ったよ。留置場はそんなに狭くないけど、外から鍵掛けられて閉じ込められてるから、最初はヤバイって思うけど、慣れれば空調完備で出前もたのめるし取り調べのない時は、他の収容者といろいろ犯罪武勇伝とかで盛り上がってた、あっという間に時間すぎるしそこまで苦痛とまではいかない。最初の2日間を乗り切ればあとはマシ!鑑別所の入所時の身体検査が全裸で超嫌だった、留置場ではそこまでやらないから!」亜衣「鑑別怖ぁ?マジメが1番!」瀧「担当の刑事さんは厳しかったけど暴力的なことはなし、誘導があるけど自分の話聞いてくれて雑談もして暇潰しになる」瀧「ほんとうの地獄は留置所より送検と裁判所の勾留質問、あれはマジやばい、檻の中で手錠のまま全員終わるまで7時間くらい待つ私語禁止、椅子は硬くてしんどい!」亜衣「ずっと手錠したままで、待ち時間もやることないん、怖ぁ!しかも7時間も、取り調べ終わったら留置場に戻してあげればいいのに?可愛そう」亜衣「瀧くん、手首に手錠の跡ついてる?」瀧「今朝、鑑別から家裁に移送された時、ワッパされたから」亜衣「逮捕って衝撃的で怖いな!」瀧「2日我慢すれば!なんとでもなるよ!姉貴捕まったら参考になるやん!」亜衣「姉弟揃って逮捕されてたら、終わってる」亜衣「真面目が一番、ったくヤバイ弟なんだから」この時、杉山弁護士から逆送決定が出た場合、オレは保護観察処分と同様に釈放になったと聞いた、どうやら大山検事は年齢的にも逆送もあり得ると踏んでいたのか不起訴処分の決済を上司承認のもと行っていたと聞いた、瀧「少年事件で逆送されたら起訴猶予にはできないと聞いたけど」杉山「嫌疑不十分で不起訴なら問題ないわ!瀧くんの事件は解釈次第では共同危険行為の幇助罪が不成立だと大山くんは判断してたみたいだし、幇助罪が不成立なら逃走時の違反だけど、そんなのは交通反則行為だけど切符を切られてないのだから、反則金未払いを理由に起訴もできない、そうなると不起訴しかない!」瀧「不起訴になったら釈放どころかそれでチャラってことよね」杉山「そうよ!つまり今日で終わりってこと」杉山「でも瀧くんは保護観察が2年あるからこれからね!」杉山「家裁は地検の不起訴決済を分かってたからあえて逆送を避けたということね!」翌日、オレは学校へ登校した。
瀧が教室の入り口でオドオドしていると、前原「久しぶり、瀧」瀧「雄二」前原「どうやった?塀の中は?」瀧「いやぁ!懲りた!マジ」前原「そんなに俺は変な目で見ないから!みんなも同じ、お前だけのせいじゃない」大月「次から気をつければいいんだよ、他人殺傷しちまったらそれではすまないけどな!」瀧「ありがと!」山田教諭「瀧くん、今回の件は大丈夫だから、日常生活に十分注意しなさい。特に東京都心部は犯罪が多いから、被害者ならともかく、犯人と勘違いされる場合もある、森崎くんだけじゃなくて、みんなも十分注意するように」西山「それにしても、他人に罪を着せる最低な人間もいるもんだな」生徒「しかも、それに騙されて気づかない馬鹿丸出しの刑事」生徒「それにしても、見破った公安はかっこいいなぁ!」西山「1ヶ月も捕まってたら、オレならアタマ変になりそう、しかも手錠かけられたら、パニクくるし」瀧「オレはその時、高校退学やなと真っ先に思った!」西山「隣のクラスの星野さん、瀧くんに聞きたいことあるって」前原「瀧の彼女❗️」瀧「ちげぇよ!中学の同級生の女友達だって、まぁお互いに悩みゴトとか相談し合える仲だけど」学校帰り、瀧と星野2人きり、星野「瀧くん、1ヶ月くらい学校休んでたけどそれって警察に捕まって停学受けてたとか、パトカー振り切ったとか、前科持ちだとかいろいろウワサばかり先行してて、先生に聞いても教えてくれないし瀧くんに連絡しても繋がらない、両親に聞いたら栃木にいるとか、なにしてたのか?」瀧「親友の由美に隠すことじゃないから言うけど、捕まっていた以外は本当だよ」星野「え!普通捕まったら前科とかつく可能性あるんじゃない?」星野「どうゆうこと?」瀧「捕まったって普通、違反で切符もらったとか悪いことして警察から補導されて親が迎えにくるとかじゃない、オレは違う」星野「まさか瀧くん?」星野「た・・・い」瀧「逮捕されたんよオレ」星野「マジ!1ヶ月も!」瀧「暴走族と誤解されてその時止まればよかったのに!逃げちゃってその時の交通違反で身元調べられて逮捕状持ってこられて手錠された!」星野「手錠怖ぁ!1ヶ月ということは、瀧くん鑑別所まで行ってるでもこれだけ早く戻ってこれたなら?」星野「審判で保護観察処分以下になったの?」瀧「保護観察受けたよ!」星野「いつ釈放されたの?」瀧「逮捕が4月29日で昨日釈放されたん」星野「36日間拘束されてた?」瀧「そう!オレ犯罪者になっちゃった、ごめん!」星野「瀧くん、昔から変わってたから、気にしないよ私」星野「警察もかなり強引な追跡してたみたいだし!瀧くん怒鳴られてパニック起こしてたでしょ?」瀧「うん!マジで止まったらその場で逮捕されると思った!怖くなって」星野「今日瀧くんち行っていい?」瀧「いいよ!永井さん今日は来ないから」星野「じゃあ!6時過ぎに行くね!」午後6時前、星野が瀧の自宅へ、星野「瀧くんのお姉さん」瀧「星野さん、どうぞ」小学校時代の担任が訪ねてきた。瀧「あ!竹中先生」瀧「オレ」竹中「聞いてるよ!大変だったな、たとえ嵌められたとしてもやってしまったことはしょうがない!責任を取るだけさ」瀧「うん!オレ保護観察受けた!」瀧「オレ、これからきちんと自分と向き合っていきたい」翌日バイトを終えて、瀧「あ!ライン来てる?文夫さんだ」9日日曜日、文夫が訪ねてきた、今井「森崎久しぶり、4月末から連絡つかないし、森崎の親に聞いても会えないって言われるだけで」瀧「実はオレ、共同危険行為でおまわりに逮捕されてた」今井「いつ?」瀧「4月29日から今月5日まで拘束されてた」今井「マジ!オレも逮捕されて昨日やっと出れた!オレは客引きで私服警官に声掛けて現行犯逮捕された。いきなり腕掴まれて手錠ガチャと掛けられて、ズボンのベルト後ろから刑事に掴まれてそのまま渋谷署に連れてかれた!」今井「手錠かけられた時、アタマ真っ白になって混乱してた!」瀧「オレは令状逮捕だったし事件から1ヶ月ほど空いてたからそれなりに覚悟はしてたけど、手錠された時は強がってたけど、ホントはこの先いつ出れるかとか高校どうなるかと思ったらすごい怖かった!」瀧「俺も渋谷署に留置された」今井「森崎って数えて36日捕まってたんだ、まさか鑑別行った?」瀧「行ったよ、観護措置で3週間弱入ってた」今井「俺は5日間留置場入って、勾留途中でそのまま地検から家裁に連れてかれてそこで観護措置なしで出れた、家裁の審判は後日あるから行かないと」瀧「文夫さん!鑑別行かなくてよかったね、マジで身体検査地獄だった!」今井「どうして?警察と同じパンツ一丁で終わりじゃない!」瀧「全裸だって!マジで」今井「え!」瀧「ケツの穴とアソコも持ち上げて裏に隠してないか?しっかり確認される!」今井「なんでよ!あり得ん!拷問やん」瀧「オレ、実際にされて寝るまで大泣きした。恥ずかしさと悔しさ倍増だし、職員の人に慰めてもらった、同じ部屋のメンバーにいろいろ助けてもらった」今井「森崎は審判どうなった?」瀧「オレは保護観察受けた、2年ぐらいだけど」今井「厳しいな!共同危険行為ってそんなに重いんだ、初犯なのに」瀧「暴走族を取り締まる法律だからね、成人の法定刑は重くないけど!未成年になると違ってくる」今井「でも森崎の方が先輩なのに呼び捨てで呼んでもいいの?まぁ!ずっと呼んでるけど、今また気になって、森崎は俺のこと文夫さんって敬語使ってる」瀧「大丈夫!気にしないで、東京では俺の方が後輩だから」今井「じゃあ遠慮なく、森崎」港と春香が帰宅、港「文夫くんひさしぶり」今井「俺も逮捕されてた」港「ほぉ!やるじゃんクレイジーやね」春香「関心してる場合じゃない、バカ港」港「東京では珍しくない、これが東京さぁ」港「田舎ではお目にかかれないぜ!」春香「このクソ都会人」港「この田舎もん」春香「東京人のキチガイ」港「春香、パンチラしてるよ」春香「この変態」春香は港の腕を掴んでひねろうとする。港「痛っ!ギブって」春香「ったくもう」春香「ごめんね文夫くん!夫婦喧嘩してるとこ見せちゃって」今井「森崎の母さん相変わらず現役だ!怖ぁ!」港「まぁ!いつもこんなもんさ」春香「これでもお互い今でも好きでしょうがない!」今井「オレ客引きやめた!逮捕されてみんなに迷惑かけてしまって、普通のバイトしようかなって」瀧「それが一番、東京はいろいろ怖いところ?でも人をひきつける魅力があるんだ、だからみな憧れるけど」翌日、学校から帰宅し、バイトを終えて、永井「瀧くん、いつも通りになってるね」清水「まぁ!クソ日向がいないだけ平和なもんだ!」永井「瀧くん、四ツ谷駅までついてくね」瀧「うん!ありがと!」四ツ谷駅で瀧が下車、永井は新宿区方面へ、自宅に帰ると、春香「瀧くん」瀧「オレのバイク明日売りにいってほしい」春香「瀧くん、分かった」瀧「オレ、法律以前に当分乗る資格ないから」翌日、オレが学校から帰るとバイクは既になかった。夜、非通知で着信。瀧「なんだ!」イタ電と思いながらも。鑑別所にいた時、特に世話になった2人に番号教えたことを思い出した。瀧「はい!森崎です」鈴木「森崎先輩だよね!」瀧「まさか鑑別所の時の鈴木さん」鈴木「そうだって!」瀧「年少行かなかったんだ!」鈴木「試験観察中だって」瀧「知ってるよ!」鈴木「大人でいう保釈やね!でも次事件起こしたら、年少だって言われてるけど!」鈴木「森崎先輩は処分どうなった?こうやって釈放されてるってことは?」瀧「オレ、保護観察受けた」鈴木「え!あの罪の初犯で!あ!きてるから電話かわるな」田中「久しぶりだな、森崎先輩!」瀧「田中さん、オレ実は」田中「保護観察受けたんだって!いつから保護観察始まるの?」瀧「あさって親と保護観察所に行くことになった」オレは2人に先輩と呼ばずに呼び捨てでいいと伝えた。
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