放課後の続き
貴文に、焚き付けられた気もするが…………

俺に相談も、報告もなしと言うのには…………腹が立つ。

取り合えず、教師の夢を優先させて

少しの間連絡を控えているが。

彼氏で…………

婚約者の立場は、変わっていない。

かなの奴………………。

俺は前回の件で仲良くなった見合い相手の弟で

barのマスターの所に

話を聞きに行った。




ギィと扉を開けると

カランコロンと………

この店に、似つかわしくない軽いカウベルの音が聞こえてきた。

「いらっしゃい。」

初めてここにきたのは…………

かながまだ高校生で

俺が誠次に『かなを、こっぴどく振る!』と聞いた時だった。

あれから時々、顔を出している。

特に最近は…………

後少しで人手に渡る、この店を惜しんで

ついつい足しげく通っている。

貴文の話しを聞きたがるこのマスターを…………

俺は、結構気に入っているのだ。

「今日は?」

マスターの質問に『烏龍茶。』と

ぶっきらぼうに答える。

「今日は、虫の居所が良くないみたいだね。
仕事が、忙しかった?」

普段なら、なついたネコのように

親しげに話す、この話し方も気に入っているが………

今日は、イラついてしまう。

カウンターに腰掛け

「ねぇ、マスター。
俺に伝えないといけないこと…………ない?」

少し目つきも悪くなるが………

相手も修羅場を潜ってきたお仲間だけあって

全く動じない。
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