放課後の続き
「あぁ!
夏苗様、いらっしゃいませ。」

表で、いつもより1オクターブは高い

多岐さんの声が聞こえた。

廊下を歩いて、玄関に向かうと

多岐さんに買って来たという夏苗ちゃんのお土産に

遠慮して受けとれずにいる多岐さんが、押し問答している。

「せっかく多岐さんの為に持って来てくれたんだから
ゆっくり食べたら良いよ。」

俺の言葉に、嬉しそうに受けとる多岐さん。

夏苗ちゃんの手には…………もう何もない。

ヨシッ!

「ねぇ~夏苗ちゃん。
俺もいっぱい頑張ったから、お土産貰えるよね!」

部屋に向かう道すがら

持ってないって分かってるのに、からかってみる。

純粋な彼女は、目に見えて落ち込んできた。

あぁ、可愛い!!

ダメだって、思うのに。

ついつい、からかいたくなるんだよなぁ。

「あっ…………あの。
………………ごめんなさい。」

謝る姿まで可愛いって、反則だよ。

もうちょっと遊びたかったんだけど。

可哀想になっちゃった。

やっぱり、妹には甘くなっちゃうよ。
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