放課後の続き
その日は………

誠次の婚約の日。

『この間泣いてスッキリした』と

最近は、笑顔を浮かべて話してくれるが……………

15年もの間、好きだった人のことを

たった数日で、忘れられる訳がない。

家に居れば………

そのタイミングで、情報が入るだろう。

彼女はきっと笑顔で…………『おめでとう』と祝うはずだ。

一人で泣きながら…………。

だから俺は、ご両親と相談した。

もちろん、夏苗ちゃんの泣く顔を見たくないからだ。

けど、それだけじゃない。

俺もだが………

ご両親も、誠次の家族のことは大切にしている。

璃子と璃子のお腹の子供も…………

幸せになって欲しいと思っている。

それには、夏苗ちゃんが側に居ないことが一番だ。

誰もが、辛い思いをしなくて済むのだから。

俺は、旅行に行くことを提案した。

夏苗ちゃんが居ない間に、終わっているように………。

ご両親は二つ返事で、了承してくれた。

だから、この旅行が決定したのだ。
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