放課後の続き
亨へのご褒美も終わり

いよいよ出発することにした。

亨と桜ちゃん。

俺と夏苗ちゃんというペアを、勝手に決めていたから

必然的に、後藤君と玲奈ちゃんというペアになっていた。

亨の車は、ワゴンタイプなので

桜ちゃんはもちろん、玲奈ちゃんと後藤君も一緒に乗ってもらった。

とは言っても……

好きだと意識して、初めての二人っきりだ。

今までは、当たり前のように過ごしていた時間だが

急に様子が変わってきた。

「春人さん、安全運転でお願いしますね!」と言って

ニッコリ笑っただけで…………

ドキッとしてしまう程。

オイオイ、本当に中坊かぁ!

自分で自分に、ツッコミをいれる。

運転に集中しようと頭を切り替え

ハンドルを握り直すと、左隣がゆらゆらと視界に入る。

うん??

チラリと視線を送ると

俺のドキドキがなんだったのかと思うほど

気持ち良さそうに

コクリ………コクリと、船をこぐ夏苗ちゃん。

ぷっ!

俺をお兄ちゃんと、安心仕切った寝顔に…………。

こちらまで笑顔がこぼれる。

彼女にとっては

誠次から卒業するために、やっと手に入れたお兄ちゃん。

心の安定をはかろうと………一生懸命、俺になついた。

彼女にとって俺は、頼みの綱なんだよなぁ。

俺の気持ちを優先させて

男として、見てもらうのは…………エゴだ。

お兄ちゃんを卒業するのは、もっともっと先の話しだな。

自分一人で、先走ったことに反省する。

今のままで良い。

ゆっくり誠次を忘れて

いつか新しい恋を意識出来るようになった時。

男の顔を覗かせよう。
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