放課後の続き

夢を追って

「3年2組…………山本夏苗さん。
至急、進路指導室までお越しください。」

校内に響く、丁寧な呼び出し音。

しかし、言葉とは裏腹に殺気立つ職員室。

「春人先生も、一緒に説得をお願いします。」

スッカリ、夏苗の保護者と認識された俺は………

先日から三度目の呼び出しをされて、職員室に来ている。

「あぁ~あ。
また始まるのかぁ。」

担任と教頭に続いて、職員室を後にし進路指導室に進む。

夏苗の意思は強いから。

幾ら教師が首を揃えて説得を試みたところで

変えることは難しいと思うんだけどなぁ。




「山本さん。
考えてみてもらえましたか?
お父様も心配されて、相談に来られましたよ。」

教頭と夏苗のお父さんは、学生時代の知り合いらしく

かながこの学校に入学したのもそのせいらしい。

その為………

かなが、夢を追って短大を希望していると

教頭に相談したようだ。

彼女の成績だと大学は選び放題だからなぁ。

学校としては、少しでも偏差値の高い大学に行ってもらいたいと

思うのも分かるし………

お父さんも、大手学習塾を経営しているから

出来るだけ偏差値の高い所に、入学して欲しいと願うのだろう。

かなは、別にレベルの高い大学を嫌がっている訳ではないのだ。

ただ、自分の夢を実現させるには

偏差値の高い大学では、無理なだけで………。

だって彼女の夢は………

幼稚園の先生だから。
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