その支配は悪魔の果実
しばらくの沈黙。

これ以上、引き延ばしたらまた決意が弱まってしまう。


「寺川さん、お願いします。社長には幸せになってもらいたいんです。なんのしがらみもなく、平穏で温かい時間を過ごして欲しい。、、、、それじゃ、失礼します。」


「あ、佐野さん!待って下さい!」


通話を切り、そのまま電源をオフにした。

私が足かせになるわけにはいかない。

だから、これが最善の方法なんだ。


大丈夫。


きっと、笑顔でいられる。


そう、願わずにはいられなかった。

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