その支配は悪魔の果実
社長の説得はどうなったのか、寺川さんからは何の音沙汰もないまま、運命の朝を迎えた。


成功していれば、社長は今日結婚式。

そして、他の誰かのもの。


そうなれば手も足も出ない。


休日なのに、デートの一つもない私はバカみたいに時計ばかり見ていた。


あぁ、今頃はチャペルで宣誓してるのかぁ、とか、ウエディングケーキの入刀かぁ、とか、、、


本当、未練タラタラで心底ウンザリする。


女々しいのにも程があるってもんだ。


「あぁ、、、そろそろ式が終わる頃か。私の恋も終止符を打つ時間だな。」


くるりと部屋を見渡して、忘れ物がないか最終チェック。


どうせなら、完膚なきまでにフラれたかった。


想いはここに置いていこう。


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