その支配は悪魔の果実
大胆な告白を聞いて、今まで悩んでたのが、急にバカらしく思えてきた。

守られるだけの人生よりも、守りたい人生がいい。


「寺川さん、この短時間で沢山の素顔を見た気がします。励ましてくれて、感謝します。」


「私はただ、思ったことを包み隠さず伝えただけですから。」

「それが今は何より嬉しいことです。」

「佐野さん、細かいことは考えずに、今は私と一緒に行きましょう」

「、、、はい。そうします。」


温かい。


荷物を車に積みながら、思い出したように寺川さんは言った。


「社長、無事に式を終えましたよ。佐野さんの願い通りに、、、」

「そう、、、それは、良かったです」


言葉とは裏腹に、ズキズキと奥底が悲鳴をあげる。



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