その支配は悪魔の果実
そんな一連の動作をみた寺川さんが突然吹き出した。

一切ブレない。

弱さも隙も、何も見せたことのない人が、、、

私の前で初めて高らかに笑ってる。

なに、このとてつもないギャップ

告白のときもだけど、たまに見え隠れするギャップが危険すぎる。

トクン、と胸のずっとずっと奥底が揺さぶられた気がした。


「そんなに笑わなくても、、、」

「すみません、つい。楓さんの困惑した顔が可愛くて、、」

「なっ、、、!寺川さんて、社長より意地悪、、、」

「、、、社長はどんな意地悪を?」


ふいに真顔になった寺川さんが、ズイッと距離を詰めてきた。

ソファーに凭れて座っていた私は、それ以上逃げ場もなく、間近に迫る瞳に囚われたまま逸らすことも出来ない。

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