その支配は悪魔の果実
ただ振り返って顔を見た

それだけのことなのに、好きでドキドキしていた頃の感情が瞬時に呼び戻される。

指先に集中した熱がどんどん沸騰していく。



「、、、久しぶりだな。その、元気か?」


少し遠慮がちに慎重に言葉を選んでるのがわかる。

こんなに自信なさげな社長を見るのは初めてだった。


「はい。」

「となりいいか?」

「あ、どうぞ」

どこかぎこちない。
初対面のようなやりとりに緊張が走る。


「寺川のとこにいるんだってな」

唐突に投げ掛けられて、どう答えればいいのか模索してると、フーッとため息が聞こえた

視線だけで社長を確認すると、その目は伏し目がちに影が落ちていく。



「社長、私、寺川さんとは、、、「別に佐野が誰と何をしようと俺が口を挟むことでもないな。」


私、今何を言おうとした?








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