その支配は悪魔の果実
幸い足は動かせる。

なにか、なにか、、、

テーブル。安物の軽量。これを蹴りあれば、、、


がシャーン、ガラガラ、、、

あ、勢いつけすぎたかも。

テーブルは弧を描くように宙へ舞い、着眼点は不幸にも鏡台の化粧品。

派手な音を響かせたあと、ガンガンと階段をかけ上がる足音。

それに驚いた男は、私を突き飛ばすと玄関へ身体を向けた。


「楓ー!!!どーしたー!」

「チッ、、、、」

「あ、テメー待ちやがれ!」

社長は体当たりして逃げてく男を、追いかけようとする。

「だめ、やだ、行かないで。」

今更、震えてきた。さっきまでは無我夢中でそんなこと考える余裕もなかったから。

社長が来てくれてホッとしたのかもしれない。

慌ててかけ上がってきてくれたことが、素直に嬉しい。


「すまない。ケガ、してないか?何もされてないか?」

「平、、、気、、っ。」









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