その支配は悪魔の果実
約束を反故にされてから半月が過ぎた。

宣言通り、社長は会社以外では一切関わってこなかった。

仕事中の10時と15時のコーヒーも、目も合わせず、言葉も交わさない。


「佐野さん、何かありましたか?」

寺川さん、相変わらず察しのよろしいことで、、、。


「いえ、特にはなにも。」

「そうですか。ここ二週間ほど、社長も調子が悪いようで。」

「も?他にも誰か?」

「えぇ。あなたですよ、佐野さん」


クスクス笑う寺川さんに疑問を持ちつつも、前言の意味を惟る。

寺川さんは何をどこまで理解してるのか、下手に口を滑らせるわけにはいかない。


「喧嘩でもしましたか?早く仲直りしてくださいね?」

「いえ、そんなんじゃないですから。」

「?そうですか?余計な口出しでしたね。すみません。」

「とんでもないです。」


寺川さんの意図がまるで分からない。

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