その支配は悪魔の果実
私は立ちあがり、とりあえずお辞儀をした。

「あなたは?」

「あの、私、少し前まで社長の秘書をしていた佐野と申します。」

「そうですか。私、蒼士さんの婚約者で宮 華乃子と申します。」

「婚約者、、、さん?」

「えぇ。ごめんなさいね。せっかく来ていただいたのに、まだ目が覚めなくて。」

「あ、いえ、、、」


持っていた花束を慣れた手つきで花瓶へ生けると、社長の耳元へ近付いて顔に触れた。


「蒼士、元秘書さんがお見舞いに来てくれたわよ。」

「あの、私帰ります。寺川さんが戻ったらそう伝えてください。お大事に。」

「待って。この事は他言無用でお願いします。聞いてるんでしょ?」

「え?」

「あなたが知ってて私が知らないことはないのよ?婚約者なんですから。」


分かってる。

そんなこと、改まって言われなくたって、、、




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