死にたがりのブルース
「悪い、今日は帰るの遅くなりそうなんだ。もし泊まるなら先に寝てて良いよ」


早口にそう告げると、明らかな難色を示す彼女。


「……分かった。気を付けて帰って来てね」


通話が切れると同時に、なんだか一気に酔いが冷めてしまった。



こうなると最早、興醒めである。



「あーあ、俺には気持ちよく酔うこともさせてくれねーってかぁ?」


硬くて痛い椅子の背もたれにギシッと体重を預けてから、一気に立ち上がる。



「すみませーん、お勘定」

「はーい」
< 13 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop