死にたがりのブルース
ゆっくりと暗闇に片足を踏み出し、覚悟を決める。



「よし、逝くか」


宙に浮いた足に重心を預ければ、ぐらりと視界が傾いた。


スルスルと、周りの景色が上に上がって行く。


嗚呼、間違えた。



俺が落ちてるんだな、地面という名の死へ向かって。



さっきまでの圧迫感とは違いやけに解放感に溢れる胸の内で、この世に別れを告げる。



「さよな、」



聞き覚えのある女の悲鳴と、グチャッと何かが潰れた音が鼓膜と意識を遮断した。

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