死にたがりのブルース
6. Lie laughter 嘘笑い
10月5日、12時10分
次に連れて来られたのは、ヤニ臭い喫煙所だった。
「やべー、心は鋼ってやつ?」
「はははっ、そうかもな」
耳障りな笑い声に、思わず眉間にシワが寄ってしまう。
自然とそこを離れようとすれば、真横にいる少女にガッチリと耳たぶを掴まれ、引き戻されてしまった。
「いててっ!」
「ほら、またそんな死んだ魚みたいな目してる。彼らの会話をよく聞いてみなよ」
死んだ魚みたいって言うか、俺、実際死んでるんだけどな。
っとひとり心の中で突っ込んでいると、喫煙所の近くを旧茶室に向かう自分が通りかかる。
当の本人が隣を歩いているとは知らずに、後輩たちはペラペラとお喋りを続けていた。
「佐原先輩ってさー、マジよく辞めねぇよな。課長にあんだけキツく叱られてんのに」
「俺だったら無理だわ〜。後輩の前であんな風に言われるとか精神的に耐えらんねぇ。あの人の心臓、本当に鉄で出来てんじゃねぇの? はははっ」
ここで俺は胸くそ悪くなって、早足に通り過ぎたんだっけ。
煙草の煙を深く肺に取り込み、二酸化酸素と共に吐き出したあと、後輩のひとりが口を開く。
「……でもさ、佐原先輩くらいだよな。俺たちの仕事手伝ってくれるの」
次に連れて来られたのは、ヤニ臭い喫煙所だった。
「やべー、心は鋼ってやつ?」
「はははっ、そうかもな」
耳障りな笑い声に、思わず眉間にシワが寄ってしまう。
自然とそこを離れようとすれば、真横にいる少女にガッチリと耳たぶを掴まれ、引き戻されてしまった。
「いててっ!」
「ほら、またそんな死んだ魚みたいな目してる。彼らの会話をよく聞いてみなよ」
死んだ魚みたいって言うか、俺、実際死んでるんだけどな。
っとひとり心の中で突っ込んでいると、喫煙所の近くを旧茶室に向かう自分が通りかかる。
当の本人が隣を歩いているとは知らずに、後輩たちはペラペラとお喋りを続けていた。
「佐原先輩ってさー、マジよく辞めねぇよな。課長にあんだけキツく叱られてんのに」
「俺だったら無理だわ〜。後輩の前であんな風に言われるとか精神的に耐えらんねぇ。あの人の心臓、本当に鉄で出来てんじゃねぇの? はははっ」
ここで俺は胸くそ悪くなって、早足に通り過ぎたんだっけ。
煙草の煙を深く肺に取り込み、二酸化酸素と共に吐き出したあと、後輩のひとりが口を開く。
「……でもさ、佐原先輩くらいだよな。俺たちの仕事手伝ってくれるの」