死にたがりのブルース
「よ、黄泉がえり?」



「そう。もう一度生き返って、やり直せ。悔いの無いよう、人生を。死にたがりの君には、最も残酷な判決だろ?」



閻魔大王は晴れ晴れとした声で、俺に告げる。


「死ぬ数分前まで、時を戻してあげるよ。そこからどうするかは、君次第」


「……どうして、俺なんかの為にそこまでしてくれるんだ」


皮肉ではなく、ただ純粋にそう尋ねると、少女は小さく笑った。



「別に? ただ、悪さも働かずにコツコツ真面目に生きていた人間が、最悪な死に方をするのを見てたら……ちょっと、手を差し伸べてあげたくなっただけ」


世界がチカチカと、白と黒に光り始める。


「……お前、案外良いヤツなんだな」


「なんだよ、その上から目線な言い草は。もっと敬え、崇めろ。僕は閻魔大王だぞ?」


ぷぅっと頬を膨らませ、そっぽを向く閻魔大王を可愛いな、なんて感じてしまい、思わず頭頂部を撫でていると。


物凄い勢いで、手をはたき落されてしまった。



「やめろ、気色の悪い!この際、最後だから僕の真の姿を見せておいてやる」


ゲームのラスボスのような台詞を吐いた後、金髪の可愛らしい少年は、瞬く間に筋肉質な身体つきをした成人男性の姿に変化した。



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