死にたがりのブルース
声からしてそれは、俺が可愛がっていた後輩たちだった。


入社1年目で仕事を辞めたいだなんて嘆いていた彼らを、安っい給料はたいて居酒屋に連れて行ってやったんだっけなぁ。


だからこの時の俺は、酷く裏切られた気分になったんだ。


「佐原パイセンみたいな精神力欲しーわー」
「ならお前も後輩の前で叱られるこったな」



あれだけ色々と助けてやっていた後輩に、好かれるどころか馬鹿にされていたなんて、センチメンタルな気分に陥って。



(くそッ、気分悪い)



グッと拳を握り締めて早足に喫煙所の前を通り過ぎた。






< 9 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop