私恋愛離脱宣言
高校三年間、私は野球部のマネージャーとして部活動一本に励んできた。
勉強が嫌いなわけじゃなかったけど、部活に励んでる自分は唯一輝いてる気がしたから。


苦い思い出もあったんだけど。



「それじゃ、ママ帰るわ!」

「あ、うん。」

「ゴミの分別もちゃんとするんよ、なんかあったら電話しておいでね、ご飯もちゃんと食べるんやで。」

「わかったわかった。ありがとうね。」

「あんたが一人暮らしかぁ。ママ家に居場所なくなってまうなぁ…」



「…」

ママとパパは物心ついた頃から仲が悪い。喧嘩が絶えなくて、いつも子供部屋に逃げては泣いていた。家には父方の祖母も一緒に暮らしているから、ママは肩身がせまいのだ。


「ごめんね、別にママを置いて逃げるわけじゃないねんで。」


その言葉にママはハッとする

「まぁ、ええねんで!
ママ1人は慣れてるねん。
…頑張るんやで。」

ママと一番仲の良かった私。友達のように、喧嘩もしたし買い物も恋話も将来の相談も。


両親共働きで、滅多に家にいない両親に、寂しいなんて言えずに育った幼少期。だから、兄弟で一番反抗期が強かったのも私だ。

「もっと母親らしくしてよ!
どうして私にはこんなママなの?!」

今でも覚えてる。娘として最低の言葉だ。小学生の頃からお弁当は自分で作っていた。家事は全部、一緒に暮らしているばあちゃんの仕事だった。貧乏だったから、服もお菓子も買ってもらえなかった。高校2年の時、部活で悩む私にママが言った何気ない一言に反論した言葉だった。
< 4 / 44 >

この作品をシェア

pagetop