私恋愛離脱宣言
新生活。

それは案外大変なもので。


「えっと、何がいるん??」

後から届けられた電化製品をほどよく配置して、空っぽの冷蔵庫を見る。

「こまったなぁ。とりあえず買い物行かんと。」

独り言が多いのは一人暮らしだけど寂しくしたくないからだ。

「お、これも買っとこか」

次々と買い物カゴに商品を投げ込む。調味料、最低限の野菜、今日のおかずになりそうな鳥の胸肉。唐揚げが私の大好物だ。

レジを通すと、レジ袋の有無を聞かれる。もちろん持参している。私は昔からしっかり者なのだ。



1人キッチンに向かって料理をして、淡々と食べる。




ああ、寂しい。



夜になると町の静かさは増す。内見の時この部屋を気に入ったのは、築30年の割に部屋が綺麗なことと、駅と学校が近いこと。それから、近くに保育園も小学校も中学校もあって賑やかだからだ。なのに、思った以上に静かで物足りない。


ママが帰ってから付けっ放しのテレビが寂しい。


明日は入学式だから、きっと友達なんかもできて、寂しさなんて紛れる。


きっと。
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