ぬるいサイダーと一緒。
1章.《勇気の出し方》
いつからだろう。
私が人とその他との関わりさえも
どうでも良くなったのは。


《ぬるいサイダーと一緒。》


ある夏の日、私は外へ行くのも起き上がるのすら面倒くさかった。でも、どうしても行きたくなった場所があった。それは…。

ミンミンミンミンミンミンミン

『初めまして。小ノ坂(おのざか)高校から来ました。高嶋柚菜(たかしまゆな)です。よろしくお願いします。』

最悪なことに、三年生の一学期から転入生として入学することになり、周りも予想通りの反応だった。でも、1人だけ私を歓迎してくれた人がいた。「これからよろしくなぁ!」と大きな声で拍手をしながら迎えてくれた、坂本水斗(さかもとみなと)。恥ずかしくて下を向いてしまったけどとても嬉しかった。

-放課後-

キーンコーンカーンコーン

みんなが一斉に教室を出ていった。うるさいけれど、夏の雰囲気を作ってくれる蝉の鳴き声が頭に響く。夕焼け色に染まる廊下と教室。その教室の中で何故か 隣に 私と坂本くん。探しているプリントが見つからないらしく、友達は先に帰ったそうで…。

『あっ…あの…!!』

勇気を出して声をかけてみる。

『…?! びっくりした〜笑 どうしたの急に。』

驚かせてしまって申し訳ない…と思いながら 次の言葉を探す。

『あ、あの…今日の朝…ありがとうございました…。』

恐る恐る今日の感謝を伝えると

『なんだ笑 そんなこと? 全然いいよ。これからもよろしくね。』

笑いながら返してくれた。
プリントが見つかったようで、「俺、お先に。」と声をかけられた。私は、思わず

『あっ!あの…もう少し…一緒に…いたい…です。』

また恥ずかしくて下を向いてしまった。静寂の中に外練の部活の掛け声と、忙しくうるさい蝉の声が響いていた。でも それらを全部消し去るように、

『……一緒に帰る…?』

この一言で私の青春は始まった。
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