【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
目を覚ましたら、何も無い真っ白の部屋に、椅子に固定されて座っていたらしい
身体は痛いし、傷口もヒリヒリする
そして少ししてその部屋に、あの女は入ってきた
「助けて!」
そう言うと女は、どうして?と言い響に近づいて頬にキスをした
「私が頼んであなたを連れてきてもらったのよ?」
そう言った
椿は黒蛇の総長に気に入られてて、響を拉致するように頼んだようだ
「ど、どうしてこんなこと…」
足も手も震える
「え、可愛いから。響くん可愛いから欲しくなっちゃった」
真っ赤の唇からそう言葉が紡がれて、目眩がした
その女の表情は、女になった母親と同じだった
こわい、こわい
震えても椅子にロープで繋がれていて動くこともできない
そしてここから地獄が始まった
女は決して響を傷つけなかった
でもそれは、響にとっては、さらなる地獄でしかなかった
「ねぇ響くん?あたしのこと好き?」
「好きなわけないだろ!こんな事して!」