【全巻完結】愛は惜しみなく与う①
嬉しい
そう言い血だらけのまま椿は響に抱きつく
その時既に響は過呼吸気味になっていた
「あたしのこと愛してくれてるのね?あーん、両想いってしあわせ」
身体を弄られ、ぬるっとする血のついた指が顔をなでる
気持ち悪い
こわい
こわい
だれか助けて
地獄から救ってくれ…
その時、突然ドン!!!と大きな音がして目をひらくと、だれも入ってこなかった部屋に、1人、男が入ってきた
そして俺と女を見て、少し悲しい顔をした
「どけよ」
椿を押して男は椅子につながれた俺の前へ
はぁ、はぁ、はぁ
呼吸ができない
苦しい
女はギャーギャーと言っている
「おい、息を吐け」
そう言って俺の血だらけの頬に手を添えて、俺の目を真っ直ぐ見る
その目を見て息をしていると、呼吸の乱れが戻る
男は携帯を取り出し話す
「海斗さん?1人連れて帰ります。俺が面倒みるんで。はい、はい、分かりました」
響はそれをただ眺めるしかできなかったと言う
男は女を無視して俺のロープを解いてくれる